大学院生活を振り返って
医療系研究科博士課程4年 朝倉 清史
この度、北里大学大学院医療系研究科博士課程を修了し、学位を取得することができました。この場をお借りしてご報告させていただくとともに、大学院生活を振り返ってみたいと思います。
私が大学院への進学を考えたきっかけは、医師3年目で北里大学メディカルセンターに勤務していた時に経験した症例にあります。後に大学院でもご指導いただく南先生が、北里大学メディカルセンターに光干渉断層法 (optical coherence tomography: OCT) のレクチャーにいらしてくださいました。その際に私が経験した症例について、case reportを書いてみてはどうかとご提案をいただきました。自分にできるだろうかと不安はありましたが、チャレンジしてみたいという気持ちで取り組みました。初めてのcase reportを自分なりに書いてみて南先生にお送りし、Wordの体裁から全てご指導いただいたことは今でも覚えています。その後、幸いJACC: Cardiovascular Interventionsにacceptされた時には、形になった喜びと何とも言えない達成感がありました。
このような経緯から研究にも興味を持ち始め、大学院への進学を決めました。大学院では虚血班に所属し、入学を待たずにデータ収集などで研究に関わらせていただきました。そして「OCTを用いた中性脂肪値と冠動脈プラーク性状の関係の検討」というテーマで、自分の研究を開始することができました。初めての統計解析では時に禁忌を犯し、厳しいご指導をいただくこともありましたが、なんとか有望な結果を出すことができました。その結果を持って論文作成に取りかかるも、過不足なく論理的な説明をすることに苦戦しました。根気のいる作業で長い時間を要しましたが、今では有意義で楽しい時間であったと感じています。推敲を重ね完成させた「Impact of triglyceride levels on plaque characteristics in patients with coronary artery disease」がInternational Journal of Cardiologyにacceptされ、学位を取得することができました。
試行錯誤したビデオライブ撮影(様々な経験の1つ)
また、論文作成とともに、海外学会にも挑戦致しました。コロナ禍のためAHAやACCはオンライン参加でしたが、2022年にバルセロナで開催されたESCには現地参加することができました。初めてのESCは、その規模に圧倒され緊張しましたが、現地で発表できたことはとても良い経験になりました。
初めて現地参加したESC
このように大学院生活では、これまでに出会わなかった様々な経験をすることができました。常に何かに追われながらも、同期や先輩・後輩にも恵まれ、非常に楽しい日々でした。そして、医学の発展に微力ながらも貢献できているような充実感を味わうことができました。終わってしまうのが惜しいですが、大学院で得た知識や研究者としての目線を持ち、これからも臨床医療・医学研究に従事していきたいです。
研修医時代から切磋琢磨した同期 (左:2016年、右:2023年)
最後になりましたが、阿古潤哉教授、南尚賢先生を始め、これまでに多くのご指導をいただきました先生方に厚く御礼申し上げます。また、時に迷惑をかけながらも支えてくれた家族に感謝します。まだまだ未熟者ではありますが、今後ともよろしくお願い致します。