郡山 恵子
第25回日本成人先天性心疾患(ACHD)学会は2024年1月6日(土)~8日(月・祝)に東京学術総合センター(一橋講堂)で開催されました。 今回はテーマが “多様を知る~to realize variative circumstance” であり、セッションの構成に工夫が凝らされ、多くの臨床的な問題を共有し、社会的な課題の掘り下げもなされた学会でした。 北里大学からは小児心臓外科、小児循環器科、循環器内科が参加し、演題数は3科合わせて10演題にのぼり、内容は症例発表、研究、制度に関わる取り組みなど多岐にわたりました。当院の活動の発信として、小板橋先生はサテライト・シンポジウムでACHD患者の産科的問題について、および研究部会セッションで就労支援について発表され、藤田先生がワークショップでACHDにおける周術期の療養・就労両立支援指導の試みについて発表されました。また、ソーシャルワーカーの左右田さんや岩谷先生、松浦先生、相磯先生など患者さんの管理に関わったことで学びの得られた症例について丁寧に振り返り、症例発表をされ、会場からも関心を集めました。発表以外では、心臓外科の鹿田先生と当科の藤田先生は専門医に認定されました。昨今、多くの施設が直面している問題を含め、当院が進めている診療、体制の構築、疾患だけにとどまらない患者への医療者からの介入について発信したことで、北里大学のactiveな現状を知ってもらえる機会になったと感じています。また、逆に他施設の発表やご意見から、当院がソーシャルワーカーの対応などを含め、施設として恵まれている点を知ることもできたことは、今後のさらなる歩みにつながるものと思います。 成人先天性心疾患は症例数自体としては決して多くはありませんが、特殊で、長期にわたるが故の複雑な経過を見ていく必要があります。現在、成人移行を受け入れる施設としては大学病院などの比較的規模の大きな施設が中心となっております。しかし、年々増え続ける患者数と予後改善にともなう遠隔期の新たな問題が絶えることなく生じており、今後、成人循環器領域で想像以上の診療割合を占めるようになっていくことが予測されます。また、若年者が主年齢層であることから、社会問題にもかかわることが多く、心疾患だけにとどまらず他科の疾患、ライフイベント、社会制度など多くのことに関わって患者差を支えていくことが必要です。全国的に学会が中心となって対応を模索し、対策を検討し続けていますが、循環器全体が関わっていかざるをえない状況を認識し、小児期から成人期、専門施設からクリニックと連続性のある患者診療にむけて理解と協力、そして知識とデータの蓄積が必要な分野であると考えます。 今回、コロナ禍明けということもあり、懇親会も開催されました。今回学会への参加者は600名超とのことで、その多くの先生方が懇親会にも参加され、小児心臓外科、小児循環器の先生方ともお話をする機会を得ることができました。多部門、多診療科で関わっていくACHDの分野において、学会という場所で会することがいかに有益なのか実感した学会でした。今回、自身および自施設の発表に対して頂いたご意見や、見聞きして学んだことを今後の診療に生かして精進したいと思います。今後とも皆様のご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願いいたします。




